• 中川順平

森繁コレクション(序)より


今日、六十数歳になって、役者は技巧だけではどうにもならないと悟らされた。役者はその人物がもち魅力が第一で、それを役者の華というのだろう。つまりは役の人物と本人とをまぜ合せてお客の心に生きるようにならねば、人は銭を払ってみにきてくれないことを知った。

役者はピンとキリを知っていれば、真中は誰でもできます。

この商売(役者稼業)は、本質的に人間を未完のまま終わらせる仕事のように思えてならない。

役者の舞台は瞬間を生きるもので、私はこれを燃焼芸術と呼んでいる。

そのはかなさと、その時の流れに芸術する精神と肉体の芸術性とするなら、これら一切の過去はないとみていい。

◆このコレクション(自伝)は630ページの本だが「序」の22ページの中にはやこれだけの説得力のある文が認められている。

これからが楽しみだ。(順)

さあ、「キッスだけでいいよ」本読みに板宿に向おう。深く読もう、回りへの配慮を考えながら、

一番適切なセリフが適確に選べるように、神経はって読もう、そして役を生きよう。


0回の閲覧