「Dear my papa」を終えて

June 21, 2018

観劇くださったお客様からこんな投稿を頂いた。要約をご紹介しますと・・・・・・

 

 『6月2日の夜の公演を観た。演技派の役者陣が笑いあり涙ありで、毎年楽しみになっている。休憩を入れて約2時間20分の作品だったが、こちらの予想を超えて展開する物語と、ぷらっとの笑いの駆動力である「ユーモア」を体現し、とにかく「ここまで笑わせるかー!」と突っ込みながら笑っているという、ある意味恐ろしいほどのストイックさを感じさせられるような楽しい舞台だった。

何より、2時間以上舞台でフル回転、全身全霊といっても過言ではない演技を魅せた役者陣の魅力と演技力。また同時に役者は体力が命だなとつくづく思た。

こういった楽しい舞台を作り上げることができるのは、何より役者はじめ関係者が「心から楽しんで」いるからだと改めて思った。』・・・・でした。

 

厚かましくも、もっと辛口のご意見をとお願いしましたら、次のようなご意見を頂きました。

『作品の勢いゆえにアラが見過ごされていた部分が多々あった。台詞を噛んだり、とちったりが結構あった。

勢いと笑いがある情況下では「自然な反応」に見えてしまうが、「流れ星」のようにシリアスなシーンがある作品で同じようなことをしたら、おそらく大きなマイナスになってしまうと思う。

台詞をしっかりとは基本的なことだと思う。

またストーリー上、役者の絡みというか登場シーンが唐突に観えるところもありました。サイドのキャラクター、とくに患者さんの物語への絡みは勿体無いというか、登場の仕方や動きなど、もっとやりようがあった様にも思います。実に勿体無いです。全体的に粗をノリと勢いで押し切った、とも言える。』・・・・有難いご意見でした。

 

演出にあたって、あたり前のことを演じていたって人は笑ってはくれない、だからと言って軽いノリの芯の無い創造では駄目。しかも気張ったって駄目、生まれ出る俳優の洒脱な演技が要求される。しかも出て来る人物との関わりを緻密に設計する必要があって、気を抜いてはならない・・・・・・。

此れまでにない生みの苦しみを味わうだろうと覚悟を決めてはおりましたが、文字通り、そんな舞台創造の連続でした。終演してからも「もっと爆笑の渦の中にお客さんを巻き込んでいけた」との僕の思いは、実に、この指摘にある通りで、台詞の正確さに加え、登場する人物の掘り下げがまだまだであると、頂いたご意見に同感でした。

金(観劇料)返せと言われるかもしれませんが。

兎に角、公演を間近に控えて、いま我々が到達したもの、稽古で培ってきたものをお客様に精一杯ぶつけるしかない、というところにありましたから・・・・・。

 

そんな背景を背負いながらも、誠心誠意、そして懸命にいい舞台を創り上げようとしたみんなが居たことは、間違いのない事実です。

いま公演を終えて、僕は主役を演じた中川順平氏に敬意を表したい。いま何をしようとしているのか、どう対処しようとしているのか、何故そのような態度をとるのか。人物の心情とその変化、それにまつわる行動とその線が正確に押さえられていたからです。その事を基軸に、正確さは欠くが、洒脱な台詞回しと演技でデーヴィッドという人物を舞台上に浮かび上がらせることができたと思っています。

また、相手役のハラハラする台詞とその行動に翻弄されながらも、的確に反応し、時には臨機応変に反応して、心情的にも行動的にも大きく外れることなく、ヒューバート像を舞台上に創りだした森本隆彦氏にも敬意を表したいと思います。

 

この二人がしっかりと、この物語を大きくけん引してくれたこと。

そして彼らを取り巻く俳優陣が、至らない点があったとしても、その人物を特徴をもって、懸命に互いに関わり会おうとしたことが、今回の舞台創造を、今までにないレベルにまでに押し上げたと僕は思っています。みんなが創出したアンサンブルのたまものだと思います。

千穐楽に近づくにつれ、俳優たちが互いに醸し出すアンサンブルが深まり、それが独り歩きし始める現象に、舞台上の創造が演出の手から離れていく寂しさを感じたこと・・・・・・、自画自賛だと言われるかもしれませんが確かなものとして僕の中に残っています。初めての経験でした。

もっともっと爆笑の渦にできる可能性を実感し始めた時には終演するという、まさに時間切れの感を抱きながらの舞台でもありました。演出として、いま一歩自信を深めることができました。

 

打上で皆さんにもお願いしましたが、劇団員は勿論、客演くださいった俳優陣にも、今後のこととして受止めて頂きたいと・・・・・・兜の緒を締めたいと思います。今更、恥ずかしいことだとは思いますが、

1.台詞は的確に。創造は台詞を覚えてから・・・・・・。

2.人物に貫通する行動と都度の線を明確に持つ。

3.相手の台詞を聞き、受けて、生まれ出る心情と反応を大切に。そしてそれにまつわる緊張を持ち続け、決して肉体的に辛いからといって楽な方へ流れない。

4.話の面白さやその展開の妙に、安直に乗っからない。芯の無い演技になる。

5.自分の経験した範囲内(通称、引出し)の創造に収まらず、もうひと枠超えたところの創造へ発展させ、思い切った演技に立ち向かう。

 

記録DVDを観て「がっくり・・・・・・」とブログにありましたが、そこには決して見過ごしてはならない事柄がたくさん記録されておりました。その時ご観劇くださったお客様に大変申し訳ないことをしたのだと肝に銘ずると共に、先に紹介したお客様の感想。「よかった」の背景にある意見を、今後の戒めと糧にしたいと思います。

 

改めてご観劇くださったお客様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

また、関係者諸氏に心より感謝いたします。本当にお疲れさまでした!!

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