そしてこの本、「俳優のノート」も山崎演じる「リア王」の稽古も終わり、いよいよ本番を迎えるところ。我々と同じだ。その所の心境を山崎はこのように記している。
いよいよ明日は初日だ。恐怖は、ある。明日は上がるかな、上がらないかな。昔は初日むちゃくちゃに上がったものだ。最近は全く上がらない。適度の緊張という程度で気持ち良くすっと舞台に出ていける。
成功したいか?したい。ならば覚悟しろ。大成功したければ大失敗も覚悟しろ。
あすはリアに身体を貸すのだ。 (なんとも素晴らしい表現だあ。順平)
そして初日が終わった日の記録には、こう書かれている。
やれやれ、本当にやれやれだ。我々俳優の頭の隅にはいつも初日の恐怖がある。役を貰った時からだ。役作りが楽しくて舞い上がっているときも、稽古がうまくいかず落ち込んでいるときも、いつも頭の隅に初日の恐怖がある。そしていま、とにもかくにもその初日が終わったのだ。
その達成感、何も考えられない、自分だけの世界に浸っている山崎の心境がわかる。経験はないが、そういうものなんだろうとうらやましくなる。
自分もその世界に近づきたい、いつか、と思う。
なんか緊張してきた、昨年のディアマイパパにもない緊張感が支配している。怖い。稽古不足の怖さでなく、役に身体を貸してやれるのか、という不安である。
昨日、演出に「あのセリフ、どうも当り前すぎる、こうしたい、こう表現したい、いいですか?」と未だに放浪、徘徊している自分がいる。
いよいよだ。今日メールで7名の予約が入っていた。
制作の宏昭から、速報メールが入った。今チケットの申し込みが、昼公演(マチネ)の4回はほぼ満員、夜の出足が7~8割だと。夜、やはりそういう時代に入ってきたのだと痛感する。我々の若い時には、芝居は夜観るものだと思っていたが。 (順平)