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なんとなく、おそらく…あの狐憑きの…

中川順平

先週は、水曜日(3時間半)、土曜日(4時間みっちり)、日曜日(3時間)の稽古だった。

ほとんど2幕1場2場3場の通し稽古、昨日は全員15人参加の熱の入った稽古だった。


セリフがおぼつかない所、動きが決まらないところ、相手役との距離感、役になり切れないでいるセリフ、全体を包んでいるこの芝居のもつテーマにそぐわない違った動き、得手勝手な解釈、練られていないセリフ、動き、間違った言い回し…そんなことを実感し、反省し、再度自らが役者として自分の立ち位置を確認するのに、有意義な稽古であった。

同時に、間違ってることを浮き彫りにする大事な作業だった。


芝居をやっていて、また公演をみにいって、その役者に魅入って劇に没入し、次元の違う世界で解放された精神の時間を遊ぶ、芝居の持つ魅力とはまさにそれにつきる。それは生半可な稽古や考えではできない、あの狐憑きの世界…それを一度経験したいものだがまだまだ遠い、あこがれだけに、日ごろの丹念や普段の訓練がまだ足りず、頭でっかちで終わってるのだろう。


今回の役者を外からみていると、それに近い演技をしている、もしくはするかもと思わせてくれる役者がいる。もちろん、本人は気づいてもいないし、それをまだ目標ともしていない、でもひょっとすると大化けするかもしれない余震をこの稽古でも感じた。

おそらく演出も感じたろうと思う。


今回の芝居、もろもろ楽しみである。楽しんで芝居を遊ぶ、こちらもそれを目指したい、役に乗り移る、役を遊び、役になり、自分とは違う世界で遊弋する…今回の芝居にはそれを役者に目指させる物語がある。今からうきうきしている。


演出にも今までとは違うものを感じる。高校時代から演劇の世界に入りすでに50年がたっている演出だが、役者の個性を生かし、役者のレベルをあげ、最後に大きな「感動」に落とし込む設計図が、出来ているような、気迫を感じる。是非代表作になってくれればいい、そのための一コマに心からなりたいと思う。


一報、役者側が、ついていってないが、まだ時間はある、これからだ。

そういう気にさせてくれる「物語」を得た、なんとしても「自分のもの」にしたい。

そう長くはないだけに…   

                           順平(2021・4・12) 




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