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もの言わぬ演技こそ…

リアクションは演技の大切な生命線の一つだ。相手役お構いなしに一人で勝手に演技する俳優ほど始末に負えないものない。(山崎)

これは山崎努の「俳優のノート」のなかの一節だが、味わい深いので再度書く。

逆に言えば、リアクションがとれない役者は退場すべきである。リアクションはモノ言わない時間、相手役やまわりの役者が動き語り、ある方向に動き出したときに、何をどうすればいいのかわかっておらず、自分はセリフがないし目立たないから後ろの方で、さも芝居の流れにそってそれらしい顔をして立っている、そんな役者が結構いる。正直、邪魔だというか、そんな役者は要らない、退場して出演していない方が芝居全体が助かる…。

いうならば、台本を深く読みきっていない、自分の役割をわかっていない、表現が拙い、とてもお金いただくなどと言えるレベルでない、そんな程度で、さもリアクションしているような顔や動きをして、参加していますよなんて言ってる役者のことです。

セリフに対する反応、リアクション、それはセリフの背景にある意味、全体の中の意図するセリフの軽重をしらないとリアクションなど取れないもの。勝手にやると芝居自体ぶち壊してしまうぐらい罪作りな動きやリアクションになる。

だから役者はセリフが多いとか少ないとかの問題でなくて、芝居の流れに乗ってなくて、要は理解できていなくて、自分のセリフや動きのときに、決められたことだけをする、それで責任はたしているつもりの芝居はやめようと。

あるサッカーの名監督が、選手を選ぶ時に、「ボールが来ていないときに、いかに次の動きに備えて準備しているか、動いているか」で決めると言ったが、まさに同じ。要は身体を動かすのでなくて、神経と頭の中をフルに動かすのだ。そして的確にセリフのない表現を相手に返すのだ。

理屈や理論ばかりが横行し、さも評論家的なのはいっぱいいるが、基本のこのリアクションができないと舞台に立てない、それが芝居、それがアンサンブルである。

だから、ひとときも気が抜けないのだ。身内でエクスキューズばかりしてるような芝居が横行してる傾向に一石を投じておく。(J)

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