俳優のノート(4)
いよいよ山崎努のリア王も本読みが始まり、周辺の役者もみんな自分で訓練を積んできている。プロの世界の本読みとは、発声やらイメージ創りや舞台の上下(かみしも)の位置での動きなどを自らがイメージングしての本読みであり、多くの予習をしてきているうえでの本読み、我々のように、演出が一から十言わないとわからないような本読みでは決してない。職業なのだから。だからこの「俳優のノート」(実はこの本の監修は伊丹十三がやったと、彼、伊丹が自殺したあとに、山崎が本の中であかしている)は、リア王が上演される本番までリアルタイムに筋立てたって劇的に書かれているので、プロの役者が、それも主役が、それもあの名優と言われる山崎が、どのようにのたうち、どのように周りとの調和を図っていったのが手にとるように書かれている。興奮する。じっくりと創造を楽しめるのだ。 そしてこの本読みのシーンでは …全体に他人のせりふが終わってから改めてスタートして自分のせりふを言うという感じになっていて気持ちが悪い。リアクションが大事。他人のせりふをよく聞けというが、あれは嘘である。 よく聞いていたのでは